時空を超えてー春男の雑記ー97 ほしがりません 勝つまでは
◆「父さん疲れた 母さん弱った 兄さん痩せた 姉さん冷えた」之は養命酒の新聞広告のキャッチフレーズだ。成る程と感心した。一般庶民の生活の疲れをこんなに上手に言い表した文言は余り無い。養命酒は薬用酒の宣伝に、こんな人は飲んで下さいと言う事だろうか。
◆今ここで問題になっているのはゼロ金利を続けるか廃止するかの問題であるが、少し前までは日銀の速水総裁が維持する方で、大蔵、通算の堺屋庶民代表(その頃までは確かに私もそう思っていた)民間出身、民間の声代表の辛口大臣が、なんとここへ来てゼロ金利廃止反対の方へ廻るのだから驚いた。人間長い間一つ所に居ればそれなりに色々しがらみが出来るのだろう。8日の新聞に、金利を上げても0.25%では低金利に変りがないと、白を黒と言っている。なまじ玄人面するだけに腹が立つ。
◆普通世間では、自分の主張を押し通して二年半もやってみて、あかんかったらすんまへん、どうも私のやり方が拙かった様です。ここらで一遍お宅の言うたはる方法(金利を上げる)でやって見ましょうかと言うのが世間の常識である。こんな事が分からない酒屋さんではないのだ、我々庶民の反対側に立つ財閥の代表になってしまっているから仕方が無い。
◆恥ずかし乍らも私も貯金テナ事をして老後に備えなければと、何年間か大阪市信用金庫へ積立をしている。月四万円で一年(十二ヶ月)に四十八万円貯まる。前は満期日に八千円の利息を付けると言う約束であった。それが先日二十五日に満期の金と一金二百五十一円の利息を持ってきた。信用金庫の兄ちゃんと、お互いに我々のしている事は何なのかと二百五十一円を前にため息をついた。
◆これら庶民に当然支払うべき代価を払わず、バブルのツケである不良債権の含み損を大きい銀行では年二千億円も償却しているのだ。そして次々に起きるであろう建築業界の債務超過に依る倒産に戦々恐々としているのだ。また一方では借金まみれの大企業はここで一年でも半年でもゼロ金利対策を延期をして儲け切りたいのである。
◆我々庶民のお母ちゃん連中は、先に見たスーパーの大根の方が五円安いと言っては二百米離れた処まで戻って始末をしているのだ。私の知人等は貸付信託で月の二十日の書換えの日に利息が四五万円づつ入る様に按分しておいて、当日は郊外電車に乗ってターミナル近くにある信託銀行にやって来る。元金にいくらか足して継続すると、いそいそとターミナル百貨店で先ずお父ちゃんの肌着を買い、次に自分の前から欲しかったブラウスを買って、九階の食堂で一寸良い盛り合わせのすしを食べ、夕食にお父ちゃんの好きなオカズを買って帰るのだったが、前に述べた八千円が二百五十一円に下がったら、之はなんとも方法が無い。
◆自分らはうまい事をして庶民には払うものも払わないで、内需拡大に金を使えと言っても庶民もそう阿呆ではないから、困るのは堺屋さん貴方の様な財閥の代弁者と違いますか。我々一般庶民に関係の無い公共事業は止めて金利を上げなはれ・・・。
(平成12年7月20日)