時空を超えてー春男の雑記ー99 暑い夏

◆夏真っ盛りの午後、商店街で果物屋をしている友達に電話をした。「どう売れている?」と聞くと「これだけ暑いと人は外へ出ない様になる。だからうち等の商売はダメ」と言う。良く分かった話である。

◆プラハの方へ行っていた孫が帰って来て開口一番「寒かった」。セーターを着込んだと言う事でバカンス用の馬鹿デカいキャンピングカーは南へ南へと行き、それは膨大な車の量だったと言うヨーロッパは冷夏らしい。

◆先日の新聞に作家曽野綾子氏は暑いインドからやって来たイエズス会の神父の事を書いていた。世界でITの技術者で最も優秀な人種はインド人だと言われている。ITの都シリコンバレーでも上部の方はインド人が占め、英国でもドイツでもIT関係の技術者のインド人はビザなしで入国させる優遇措置を取ると言っている。

◆こう言う人材を輩出するインドに、未だカーストの制度があり、最下級の不可触賤民の制度がある。これらの人は、使用人として働く場合でも床の清掃を受け持つだけで、机の上やベッドの上の物は絶対さわってはならない、当然文盲であり、数の数え方も出来ないから、騙されて農奴に売られたりする。

◆イエズス会では、彼等を救うには教育しか無いと学校設立の資金を集める為に神父は来日していると言うのだが、この文盲で、不可触賤民とシリコンバレーで最先端技術の開発をし、現時点で最高にもてはやされているリッチな人が同一人種であるとは私には良く分からない。こんなの今世間で良く言われている勝ち組負け組とは話は違うのだが、おかしな事に勝ち組の技術者の方が、インド国内より米国その他に安住の地を求めている。

◆自動車の勝ち組トヨタなんどは車だけでは食い足らんと見えて、大分以前からトヨタ住宅なんて名前で我々の分野にまで入ってきた。そして次は銀行をやると言うのだから恐ろしい。車を売ったらそのローンから交通事故保険、盗難保険まで自分の方でやり、潜在顧客は一応五十万人だと言うから銀行もおちおち出来ない。

◆先日も取引銀行の顔なじみが「永らくお世話になりましたが実は転勤になりました」と挨拶に来たので「どこへ行くの」と聞くと、本店で「ゼネコン」担当になったと言う。この暑いのにご苦労さんとしか言い様が無かった。我等も銀行に用が無くなってきた。つまり借りたら返す目処が無くなったと言う事だ。今、上場企業でも大半の処は儲かっている会社でも借金は増える一方だ。即ち借金を返す程儲から無くなった訳だ。之はどう言う事か。銀行もだんだん仕事が無くなって来た。

(平成12年8月20日)