甥には扶養義務があるのか?

2024年4月30日の日本経済新聞に結婚歴のない1人暮らしの70代女性のお悩みとして
「甥に介護が必要になったら面倒をみてほしいと頼んだら断られました。甥に私を養う法的義務はないのでしょうか?」というご質問がありました。
これに対して志賀剛一弁護士の回答が載っていました。
3親等内親族間の扶養義務 「特別の事情」必要に 弁護士 志賀剛一さん - 日本経済新聞 (nikkei.com)

この記事の中では扶養について説明がされています。
扶養・・・自身の資産や能力だけでは自立した生活ができない家族や親族に対して援助をすること
「介護」はまさに扶養の問題とのことです。

民法第877条1項と2項は次のとおりです。
①直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
②家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
また、配偶者に関しては民法752条があります。
第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

この女性のケースは民法第877条2項のケースかと思われます。
2項にある「特別の事情」とは何か?が今回の問題点となるようです。
「特別な事情」は家庭裁判所が認めるかどうかに最終的には判断がゆだねられます。

実際、家庭裁判所の判例(過去の法廷で判決が下された事案やその判決内容)があるそうで
「よほどの事情でない限り「特別の事情」ありと認めるべきではない」
とされています。単に要扶養者が生活に困窮していて他に頼る親族がいないというだけでは足りないと解されているそうです。

具体的に「特別の事情」が認められるのは、
・扶養義務を負担させることが相当とされる程度の経済的対価が支払われている場合
・道義的な恩恵を受けている場合
・その親族間で同居している場合
などが考えられるとのことで単に年に1回や2回会う程度の関係では家庭裁判所が「特別の事情」を認める可能性は低いと言えるそうです。

志賀先生は現代では親族間の結びつきが年々希薄化しており扶養は遠い親戚ではなく、公的扶助に委ねる傾向がより強くなっているように思われるとされています。そして遺産を残したいような近い親族がおらず、手元に一定の財産があるのであれば、遠い親戚を頼るより、
・見守りサービス
・身元保証サービス
・財産管理等委任契約
・任意後見契約
・死後事務委任契約
などの諸制度の利用を検討してみるほうがよいかもしれませんとありました。

このケースの場合、女性の遺産は何もしなかったら甥が唯一の法定相続人となりますので相続されることになります。女性は生前の対策として任意後見契約の検討、エンディングノートや遺言書の作成等をされた方がよいように感じました。

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