相続の方法「限定承認」とは?

2024年 1/6の日本経済新聞のマネーのまなびに相続で親に思わぬ借金があった場合のことについて書いてありましたので纏めたいと思います。

相続、親に思わぬ借金 「限定承認」で過度な負担回避も - 日本経済新聞 (nikkei.com)

明治安田総合研究所が2019年に実施した調査によりますと親の預貯金の状況を「把握していない」とした人の割合は50代前半の男性と女性でそれぞれ6割前後を占めているそうです。60代後半でも男性は4割弱、女性は5割弱とのこと。半分くらいの人しか親の預貯金の状況をしっていないといえるかと思います。

このような状況ですと相続の場面で財産、借金のすべてを把握できたか不安があるという状況がうまれる方がいます。

こうした場合「限定承認」という相続の方法が勧められるとあります。

まず、相続の方法は3種類です。
・単純相続…資産と負債すべてを引き継ぐ。
・相続放棄…資産と負債すべてを引き継がない。
・限定相続…資産の範囲で負債を引き継ぐ。

「限定承認」の具体例がありました。

(例)
・親の資産1000万円を限定承認で相続。その後5000万円の負債があることが明らかになる。
 →弁済は1000万円まで。残り4000万円は払わなくてよい。
・親の資産1000万円を限定承認で相続。その後300万円の負債があることが明らかになる。
 →弁済は300万円。700万円は手元に残すことが可能。

・先祖代々の土地や実家などを相続することを強く望み、こちらを限定相続したい。一方で借金もあ る。
 →家庭裁判所によって選任された鑑定人が算出した評価額を支払えば、特定の資産を負債の弁済の引き当てから外すことが可能。

(限定承認の注意点)
・相続人全員で申し立てる必要がある。
・相続の開始(通常は相続人が被相続人の死亡を知ったとき)から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要がある。
・手続き完了まで時間がかかりやすい。(半年~1年程度かかることがある。)
・一連の手続きが完了するまで個人の財産に手を一切つけてはいけない。
・資産に含み益があると課税対象になる。

(例)
被相続人が4000万円で取得した土地→相続時の土地の時価が6000万円
2000万円が個人のみなし譲渡所得となり、税額は故人の遺産から払うことになる。相続人は準確定申告が必要となる。