時空を越えてー春男の雑記ー71 誰にも分からないのだ
◆昨年の長者番付が新聞に出ていた。どうも理解出来ない。と云うよりかつての様に建築なら建築、金融なら金融と言う昨年の儲け業種が出ていない。僅か小口金融、コンピューターソフト等が上位である。ここに出てきている小口金融なんてのは、顔も見ないで金を貸そうと言うのが歌い文句だから、いくら高い利息を取っていてもいずれは破綻がくるだろうが、どう考えても危い話と思われる。
◆だが社長さんは、長者番付の上位に出てくる位月給を取っている。商売の基本は、お客さんが得する事によって将来があるので、お客さんが下手に金を借りたら大火傷する様な商売が長続きするとは、とても思えないが現実は長者番付なんかに顔を並べている。
◆次の情報産業なるものも何がどう儲かるのか今一つ分からない。例えばヤフーなんて会社の株は、五万円額面が六千万円にもなった。六千万円なんて金は吾々が一生働いても手にする事が出来るかどうか分からない大金だ。調べて見たら、インターネットの情報検索サービスの最大手で、インターネット広告収入が収益源だと云う。だから大株主で会長さんの孫さんは長者番付に出てくるのだが、最も驚いたのは、この会社は配当が無いのである。どこまでも分からない。
◆そして次に2月に公開した日本オラクルの時価総額は繊維や石油トップの東レや日石、三菱を抜いている。ここにきて情報先取り企業の中の勝ち組企業がはっきり吾々の目にも見える様になってきた。新しい分野を開発していく企業ベンチャービジネスに成功率は二割と云う。また既存企業でも勝ち組、負け組の色分けがはっきりしてきた現在、負け組はどこまで落ちて行くのだろう。
◆落ちると言えば去年、国際社会で一番落ちたのはロシアである。米国その他の金融機関と言うかロシアの国債等を扱っていた企業は存続を危まれる程の大痛手を受けた。然し一方、疲弊したと云われているロシアの国内では、今や大スーパーが空前の活況を呈している。ものすごい金持ちがわんさと居るのである。国は破産寸前の危機に直面しているというのに庶民は悠々と暮らしている。誰にも頼らず単独で海外貿易をして貯め込んだドルをタンス貯金していると言う。
◆資源大国であるロシアは、貿易黒字が続いている。然し国家は破産状態にあるのだ。混迷の中にも一部の人は賢いのか、運が良いのか儲け続けている。反面、どうにもならず奈落へ落ちて行く人もいる。株では天井一日底三年という。その三年と言う月日が過ぎた現在、上るしか仕方がない経済なのだが。
◆一方秋にはもう一段のダメ押しの下げがあると思うのは私だけであろうか。日本の国民もロシア人を見習って、国が破産しようが、社会が混乱しようが、自分は自分の力で円でもドルでも稼いで生きていけば良い位の腹をくくるべきではないだろうか。先の事など誰も何も分からない。
(平成11年6月5日)