家族信託(民事信託)のメリット③ー初期費用はかかるがランニングコストを発生させない形にすることが可能ー

家族信託のメリット③についてまとめます。
「初期費用がかかるがランニングコストを発生させない形にすることが可能」
ということかと思います。

家族信託の仕組みを設定するには初期費用として主に次の費用がかかります。
①専門家のコンサルティング費用
②公正証書の作成費用
③登録免許税
④(不動産を信託した場合)司法書士の費用

①は弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に家族信託のスキーム設計や信託契約書の作成などを依頼する費用です。信託財産の評価額の0.8〜1%程度がコンサルティング費用の相場のようです。
資産額や頼んだ専門家によるかと思いますが、数十万円が初期費用としてかかります。

(一般的な目安)
金銭を家族信託した場合•••約20〜40万円
自宅を家族信託した場合•••約40〜70万円
収益物件を家族信託した場合•••約50〜100万円

家族信託は初期費用以外のランニングコスト等の費用は以下の場合を除き原則かかりません。
•受託者に報酬を支払う場合(報酬の支払い義務があるわけではありません。契約次第です。)
•信託契約を変更する場合
•信託監督人や受益者代理人として専門家を定めた場合

これは成年後見制度を使った場合と大きく違う点です。

成年後見制度を使うと多くの場合ランニングコストが発生します。

法定後見で親族が後見人に選ばれた場合、家庭裁判所に報酬付与の申立てをしなければランニングコストはかかりませんが、監督人がついたら監督人の報酬を支払う必要があります。また、専門職後見人が就任した場合は報酬が発生します。

任意後見の場合は監督人がつくので例え親族後見でも必ず報酬が発生します。初期費用も家族信託ほどではないですがある程度発生します。

成年後見人の月額の報酬額の目安は管理対象財産額によります。 
1000万円以下•••2万円
1000万円超5000万円以下•••3〜4万円
5000万円超•••5〜6万円

例えばですが、何らかの事情で専門職が成年後見人として選任されたとします。

被後見人が亡くなるまで毎年報酬がランニングコストとして発生します。仮に最低金額の年24万円の報酬審判がでたとしても5年間で120万円、10年間だと240万円もの出費となります。

つまり、亡くなるまでの期間が長いとランニングコストとして発生する後見報酬の負担は家族信託の費用以上に大きくなる場合があるといえるかと思います。