家族信託(民事信託)のメリット④ー不動産の共有関係を整理することが出来るー
家族信託のメリット④です。
「不動産の共有関係を整理することが出来る」
ことが挙げられます。
例をあげます。
先代の相続を経緯に自宅が長男Aと長女Bの共有になっています。
長女Bの子D夫婦には子供がいなくて長女B亡き後は長男の子Cに自宅の権利を譲ってもよいと長女Bは考えています。自宅は古くなってきていますので、今後兄弟ABのうち誰かが認知症になった場合や他界した場合どうなってしまうのか長男の子Cは心配しています。
自宅はABの共有財産となっていますから、例えば自宅を売却をするならABの合意が必要です。
ABどちらかが認知症になると売却をするためには成年後見人をつける必要がでてきます。
もしBが亡くなったらBの持ち分はDが相続します。Aが亡くなったらCが相続。
CがなくなったらCの妻と子供E、Fが相続人となり、どんどん共有者が増えてしまい管理が複雑に
なります。
今回のケースでA、Bの考えとして今後Cに管理を任せ、最終的にはCに自宅を継いでいかせたいという意向があることから、権利関係が複雑になってしまうことがないよう、Cに自宅を信託財産として託すという家族信託の方法があります。
家族信託を利用し、名義を受託者であるCに一本化することでABどちらかが徐々に意思判断能力が低下し、判断できなくなりつつある状態であってもCの判断で自宅の管理をすることができます。
契約書は2つ作成することになります。
長女B分の信託契約では自宅管理費用として少額の金銭に留め、長女Bの残りの金融資産については長女の子供Dに相続させるということで信託財産には組み入れないことにしました。
このように受託者を特定の1名、Cとする信託契約をA、Bがそれぞれすることにより、名義を一本化でき受託者Cの判断で信託財産となった共有財産を管理・処分することができます。
受益者A、Bは受益権を持っているので、例えば共有財産を売却した場合には売却代金を按分で取得することができます。