家族信託(民事信託)のメリット⑥ー認知症を患い、遺産分割協議が成立しないことを防ぐことができるー

家族信託のメリット⑥です。
「配偶者が認知症を患い、将来、遺産分割協議が成立しないことを防ぐことができる」ことかと思います。

具体例で説明します。
ご本人は自宅と収益不動産、預貯金を持っています。妻が認知症を患い施設に入所しています。
自宅は長男に継がせたいが、収益不動産からの家賃は子ども2人で平等に取得させたいです。預金については妻の介護費用に充てることを希望しています。

もしこのケースでご本人の遺言等がなく、お亡くなりになった場合どうなるでしょうか?

相続人の間で遺産分割協議をする必要があるのですが、妻が認知症を患っていますので、妻は判断能力が衰えた相続人となり、妻に代わる成年後見人を選任してもらい遺産分割協議に参加してもらわなければいけません。この成年後見人は「本人財産を守る」という職責を負っていますので、妻の相続分が法定相続分を下回るような協議は原則として認められません。また、この場合の成年後見人は子ども達とは利益相反の関係となりますので一般的には親族ではなく、専門職が成年後見人となることとなり、現行制度ですと妻には遺産分割協議からずっと成年後見人がつき費用も発生します。
ご本人は収益不動産の利益は子どもたちで分けて欲しいという希望を持っていてもその希望がかなわない可能性があります。

もしご本人が遺言を書いた場合「収益不動産の家賃を子ども2人で平等に」という希望を遺言で対応しようとすると、収益不動産を二分の一ずつ共有するように指定するしかありません。しかし、不動産の共有状態は将来的に権利関係が複雑化する可能性があるのでお勧めできません。

このような時に家族信託が使えます。
収益不動産を信託財産とします。

委託者…ご本人
受託者…長男
第一受益者…ご本人
第二受益者…妻(30%)、長男(35%)、次男(35%)
第三受益者…長男(50%)、次男(50%)

「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」により、収益不動産の共有は避けつつ、ご本人の希望どおりに収益だけをうまく配分できることが可能です。

かむろ坂行政書士事務所では民事信託についてのご相談をうけたまわります。
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