時空を超えてー春男の雑記ー124 靖国参拝を巡るいろいろ

◆庶民のオジサンである小生の日曜日の朝は遅い食パンをかじり乍ら八時十五分、ABCラジオの「なみはや亭」を開く事から始まる。之は9時まで45分の落語である。落語も一席40分位になると聞き応えがある。次は9時からNHKTVの日曜討論会を十時まで見る。そして、十時からは、朝日TVの田原総一郎という勇ましい斬り込み隊長のお兄さんの時事解説のような番組を見る。これには政財界や評論家など時の人が出てきてやり合うので面白い。人に依っては田原が嫌いだからこの番組は絶対見ないと言う人もいるが、小生の様に暇さえあれば毎週見て喜んでいるのもいる。

◆二日の朝のゲストは、小泉首相に真っ向から斬り込んで大論文を雑誌に出した亀井静香先生であった。彼は小泉さんが八月十五日に靖国神社に参ると公約していたのにそれを破ったと言っている。この人は地方遊説で、よその国が何と言っても詣るべきだと言っている。勘定に合わん事は止めといた方が良いという人は小泉さんに会いに行って説得している。皆夫々に思惑が有っての事だが、ここに真っ向からの正論を朝日新聞に発表した人がいる。ご立派としか言い様がない。不適正な抜粋になるが皆さんと読んで見たい。ノンフィクション作家の上坂冬子さんの論文である。

◆『8月15日の参拝が前倒しされて、二つの点で失望している。一つは国家機関の長が戦没者に哀悼の意を捧げるのは当然の国内問題であるのにも拘らず、国際信義の問題であるかの様に取り沙汰されたことへのケジメがはぐらされた点、もう一つはA級戦犯に忌避する愚が払拭されなかった点だ。福岡市に行って見るが良い。進藤一馬市長時代に、民間有志が護国神社に向けて建てたA級戦犯広田広穀元首相の銅像がある。こうして公然と戦犯をねぎらっているところさえある。

◆日本の首相がA級戦犯に頭を下げる図が近隣諸国の顰蹙を買うと言うけれど、原告が被告を裁いた極東軍事裁判の不公平は誰もが認める処である。繰り返して言おう。既に日本は戦争に対する償いを済ませている。でなければあの絞首刑は何であったのか。個人別にさえ違う歴史認識が、国家間で同一である筈がない。まして異常事態としての戦争の起承転結など平和な時代に身をおいて安直に問い詰めていけば、論議は不毛に陥るばかりだ』

◆ものすごい論法である。然し中国韓国の指導者としては、国土を戦火にさらされ、そこで暴虐の限りを尽くした軍国主義者に対する拭いきれない被害者意識を国民はまだまだ持っているから、余り刺激するような事は避けて欲しいと言う事なのだが、上坂さんの様に余り利害関係のない人はここまで言い切る事が出来るが、当路の政治家となると夫々目線が違うから難しいところである。然し亀井さんに言いたい。「無責任に人をそそのかしているとしか思えない。皆どこまでどうなのか分からない」・・・。そんな事を考えたら上坂氏はご立派である。

(平成13年9月20日)