時空を超えてー春男の雑記ー64 徒然草(二)友を選ばば
◆妻を娶らば才長けて 見目美しく情けあり
友を選ばば書を読みて
六分の侠気 四分の熱
これはよく祝事の席で唄われる人をこふる歌の一節である。日本人独特の男女の最も好しい理想像をえがき出している。
◆徒然草で兼好は、友達にしたら損な人を七つ、得な人を三つあげているが、六百年と云う年月の差は一寸当節では理解しにくいのもあるが、敢えて偏見と独断で挑戦してみようと思う。
◆損な人の一つには、高くやんごとなき人と出ている。正にこれは云えている。昔から御大家の苦労知らずを友に持ってもどうにもならない。この人達は生まれながらに他人がせっせと自分に尽くすのは当たり前と思っている。感謝もしないし、ましてお礼するなぞ夢にも思っていない。正に一方通行で、こんな人の土持ちしてる方はたまったものではない。
◆二つ目は若い人と言っている。年上の友人の方が学ぶ処が多い。それに反して若い人は思慮分別に欠けると言う事だろうか。
三つ目は病無く身強き人とある。之は今でも健康な人は身体の弱い人に対する思いやりが無いのは事実だ。
◆四つ目は酒を好む人とあるが、大体飲み友達と言うのは、皆良い友人の筆頭に上げるのだが、兼好は何故悪い方へ入れたの
だろうか。酒飲み友達などは、奥さん方から言えば最低の悪い友人かも知れない。
◆五つ目は武く勇める兵と出ている。そうだろう強い元気のある兵隊さんには、戦争中に吾々日本国民は随分えらい目にあった。勇ましい挑戦的な兵隊さん等の側には絶対に寄らない方が良い。
◆六つ目は虚言を言う人横山たかしのホラ吹き漫才の「笑えよ」と言って嘘をつくのは罪がないが気が付いたら虎の子の全財産
やられたと言う様な嘘八百の友達はかなわない。最後の七つ目は欲深き人と言っている。人間、欲の無い者はないが自分より欲
の深い人は友達なんて”真っ平”でなるべくそばへ寄らない方が良い。
◆次に良い友達では一番手に物くるる人とある。之には驚いた。兼好ともあろう教養人がよくも書いたものだ。誰でも物を呉れる人が良いに決まっている。二番手にはくすし即ち医者と言っている。これらは本当に今でも変わらない。兼好さん、私も無条件で賛成しますよ。
◆最後に三番手は知恵ある友達を上げている。以上の様な事柄を書き並べている。矛盾だらけであるが、私には兼好は、学者でも宗教家でもない単なるもの書で、思いのまま書き止めているだけだと言う開き直りが見える。徒然草の中の短い一文である。
(平成11年2月20日)