時空を超えてー春男の雑記ー66 隠居同盟
◆隠居研究会が発足し、隠居通信の読書は五百人を超えると言う。ここで隠居の極意は「いい加減に生きる」と言う事で、いい湯加減に表される「いい」である。大きい事は良い事でと高度成長を支えた団塊世代が、時移り、星移りてのご隠居である。
◆「中年の不安と希望」に焦点を当てた昨年の国民の生活白書は生涯現役を唱えた。寿命が延びたのだからもっと働くのが自然で働け、稼げ、モノを買えと云う。いまだに人々を煽り続ける日本社会の空気とは何だろう。然し一方では、もう程々にしておこうと云う感覚が人々の心の中に少しづつ根を張ろうとしている。
◆ここに惑星物理学者で東大の先生の松井孝典さんは経済審議会の委員だが「景気が悪くてどうしていけないんですか」と言っている。戦後のエンゲル係数では、どの家でも80%以上で子育てに苦しんだのだ。その頃に比べ今の32・3%は天国なのだ。
◆経済閣僚のテレビ等でよく売れてる人が、週刊誌に「心配性につける薬は」と云う見出しで一文を書いている。馬鹿にするな、生命を張って商売をしている吾々は、傷みの分からないお前達の妄言には騙されないのだ。大企業が今からリストラに入って人員整理をするというのにどうして景気が良くなるのだ。そっちが心配性に付ける薬はないと言うなら、こっちは「馬鹿に付ける薬は」と言ってやりたい。
◆2月28日の毎日新聞の「余録」氏は大変興味深いコラムを書いていた。『日本の消費不振にたまりかねた米国がとうとう強制的に日本人の洗脳に乗り出す事になった。その手始めに先ずB52爆撃機でビザカードを空からばらまくのだと云う記事が19日付ニューヨークタイムズに載っていた。地域振興券では手ぬるい、これが決定的な内需拡大策かと感心していたら2000年3月1日付の架空記事だった。
◆いささか滑稽なシナリオで、ルービン財務長官とサマーズ副長官の2人に率いられた「消費強制軍」が日本に上陸すると消費を拒む者は収容所に入れられると言うオチまで付いている。
◆さて、一番にほり込まれるのは「節約生活のススメ」でベストセラーを続けている山崎えり子さんだろうと言う事だ。がサマーズ収容所では徹底的な洗脳が試みられるだろうが、三食昼寝付の収容所が気に入った彼女は出ようとしないだろう。このアメリカ型の物資文明も限界が見えてきて、鼻についてくるし「使い捨て」は環境破壊的だとの批判も強い。そして2000年3月2日の毎日新聞には、山崎えり子さんをリーダーとする風船部隊が組織されて、米国西海岸向けに大型貯金箱入りの巨大な風船を多発発射。』
◆以上、大変ユニークなコラムだが、先日、政府は行革の一端として公務員の25%削減を発表したが、リストラより給料を25%下げたら如何、これなら来月からでも出来るし、失業者も出ないのだが。
(平成11年3月20日)