時空を超えてー春男の雑記ー90 チューリップの球根
◆その頃のオランダはチューリップの新種ブームに沸いていた。球根成金が次から次へと誕生するのだ。アメリカの海軍の水兵さんがその家へ尋ねてきた。親戚の息子である。陽気な彼の軍隊の話に皆いささか興奮していた。ふと見るとその水兵さん話に夢中でテーブルの上に置いてあったチューリップの球根を玉葱と間違えて齧っているではないか。皆一瞬真っ青になった。家一軒分位の値打ちのある球根を食べてしまったのだから・・・。翌日の新聞にはこの出来事が奇想天外なニュースとして掲載された。然し投機筋は目の上の鱗が落ちる思いがした。そして球根ブームは去るのである。
◆わが国でも丁度十年前、株に、土地に景気は沸き返った。金余りの銀行はいくらでも金を貸すのだ。そして株や土地は買えば必ず儲かった。だがある日、バブルははじけたのである。日本の国民は大人しい。欲張りの片棒担いで大損した銀行の、穴埋めを手伝っているのだ。タダ同然の金利で集めた庶民の金を貸し付けて、其の利益で穴埋めをしているのだ。
◆バブルから十年、又そろそろ株屋は動き始めた。彼等の言う事は何時も一緒だ。かつても御用評論家はNTTは半官半民、世界優良の会社だ、一株五百万円してもおかしくないと煽り立てた。今はソニーは優良会社だ。何年か先に必ず十万円にはなると、アメリカのなんとかさんが言っていると言う。恐ろしい事である。子羊の耳元で狼ばあさんは囁くが、欲につられて狼の甘い言葉に騙されて扉を開けたらお終いである。大体第一ラウンドはもう済んだ様に思う。
◆アメリカのビルゲイツ氏、デジルバ氏は方向転換を表明している。それらの人は短期間に積み上げた膨大な資産の使い道の無さ、無意味さ、今一つは、サイクルの速い技術革新に自分は乗り遅れたくないと言う自負心が、二人共技術畑に戻ろうとしている。一夜明けたら増える財産等には興味が無くなったと言うのか、自分は中世の荘園領主ではないのだからと言っている。
◆先日も銀行預金の利息が余りに安いので、投資信託を一二軒廻って見た。カウンターの社員は得々とまくし立てる。この右肩上がりのグラフを見て欲しい、一年程で二倍半以上に元本がふくれ上がっていると・・・(ダウ平均が四割位しから上がってないのに)そして配当は言わない。更に運用しているのは外国の機関で自分の処は債権を売った手数料を貰っているだけそれからお客さん、相場は下がる事もありますので・・・。
◆元本保証されていまへんやん、あんたやったら買いまっかとよっぽど言いたかったが、じっと我慢して帰って来た。
(平成12年4月5日)