時空を超えてー木々高太郎の雑記ー②おさけ

◆秋雨の訪れは、こう冷えると何時迄もビールでは・・・と云う気になり中元に頂いたお酒の包みを開けてみたら、余り聞いた事のない銘柄で、”刈穂”と書いてある。規格は大吟醸でなかなかのものである。改めて送って呉れた人の顔を思い浮かべながら効能書を読んでみる。

◆「秋の田の刈穂の庵の苫をあらみ 我ころも手は 露にぬれつつ」

◆これは百人一首の一番札で、天智天皇の歌だが、この酒は秋田産と、歌の秋の田が結ぶと言うのは考え過ぎだろうか。度数16度~17度、辛口、淡麗とある。淡麗と言う様な味は今一つわからないが、恐らく絶対美味しいのだと思うと晩酌が楽しみになる。総体に秋田、新潟から最近極上のとてつもないお酒が売り出されている。

◆涼しくなって来るとどうしても飲む機会が多くなる。何かで読んだが料理屋さんはその店の料理に良く合うお酒を用意するそうだ。皆さんそれぞれ好みはあるだろうが、「うちの料理にはこの酒が一番合う」と確信を以って選定したその店の酒を飲むのが一つの見識ではなかろうか。気の合った者同士、3、4人でしっとりとした座敷で、料理良し、酒良しときたらこれ以上のものはない。

◆宴会或いはパーティの様子が最近かなり変わってきた。余りお酒をつぎに廻る人がいなくなった。飲む飲まないに拘らずええ加減年を取ると、マイペースで適量を考え乍らホロッとするのが最高で、こうした傾向は静かに酒を飲みたい私には有難い。

◆これから寒くなってくると魚が一段と美味しくなってくる。そうなるとやはり鍋が最高だ。楽しみなことである。

◆先日、㈱四ツ橋の五十周年の御祝に出席し"ヤッター"と思った。一定時間のフリーパーティ。客の来られる又、帰られる時間帯にホストは入口で送迎する。その他の時は会場内で客の中を廻って接待する。そして挨拶祝辞は一切なし。こんな気色の良いパーティーは久し振り。立食の特色が百%発揮されていた。尚かつ日光ホテルの32階、部屋良し、酒良し、料理良し、皆さんお互いに長生きしましょう!

(平成8年10月5日)