時空を超えてー木々高太郎の雑記ー㉗吾々のビッグバン

◆K氏は、会話の楽しい私のお友達の一人である。紙面を借りて受け売りを一つ。

◆「A銀行の支店長は、楽しい人で発想が素晴らしい。来年のビッグバンの終りは、ご多分に漏れず業界の集約になるだろう。生き残る業者は、武富士が金融界を抑え、次に物流はクロネコの大和運輸が、流通業としてはセブンイレブンが残るのではないか。英国ではセブンイレブンの金利の方が都市銀行より安い。」なんて話である。許認可の廃止はどんどん業種間の垣根を取りはずすと云うか飛び越えて交差している。

◆20年程前、アメリカでは、生き残れるのは散髪屋だけではないかと云うことが話題に上った事がある。一人一人、ハンドメイドの散髪屋は集約の方法がないから淘汰されないと云う事だったが、それも安心できない。価格破壊と云う当時流行の波に洗われて、二ヶ月程前から三百円値上がりして四千三百円と云う店が出て来た半面、千円台の店が出てきた。大変な話である。

◆学校がまた大変な様だ。だんだん子どもの数が減って行くので生徒の確保に苦労する。来たる者は拒まず、試験で落す等もっての外ですよと言っていたが悪いジョーダンだ。

◆昨夜遅く半分寝乍ら聞いていたラジオで、元京大教授の森毅先生と今一人小沢一彦先生のトーク番組があった。森先生は本来学生が好きで、また学生に人気があり、何時も学生が追っかけの様に、良い年をしてジーパンをはいた先生にへばりついていた様だ。

◆この人の論によると、こうした学生達と街の喫茶店等で議論風発、いろんな話をする。数学の教授をつかめて政治、政策の論議をする。少し年長の先輩からの話が一番身につくのだ。そこでは授業では出てこない自由な発想の転換がある。又自分の学校だけでなく、他校との交流、授業を含めてもやらなきゃと云う話で、これぞビッグバンだなと聞いていた。

◆エピソードとしては昔の学生は、先生のアラ探し専門がいて、先生一寸そこが間違っていますよと声がかかり、それはそれで楽しかった。今の学生は何も云わないので何となく気が重い。先生のスタイルとしても、昨日の問題帰ってからよう考えたら、どうも違う様だなんて臆面もなく言う先生の方が人気があり、尊敬される様だ、、、。とはっきり言っていた。

◆小沢先生は「学生さんは若い内に固い本を読んで置いて欲しい。そして目先の就職等に追い回されていないで、カント、ヘーゲル、司馬遼太郎を読んで世界観を養いなさい。」と言っている。

◆長い人生に備えて読むべき本を、読まないでこの年まで来てしまった人達には、別にコメントはありませんでした。こういうのを馬齢を重ねると言うのだろう。

(平成9年8月5日)