時空を超えてー木々高太郎の雑記ー㊽ 風蕭蕭として易水寒し(三)
◆ソニーの社長井出信伸之氏の早稲田大学に於ける「デジタル時代の取組みと大学に対する期待」と云う記念講演が毎日新聞に掲載されていた。ここに転載して皆さんと共に学びたい。
◆1989年末に東西ドイツの壁が無くなり、2年後の91年にあの巨大なソ連が崩壊してしまう。ここに米ソの冷戦時代は終わりを告げるのだが、これを境に軍需産業の雄IBM等は大きく民生用にシフトし、そこから米国の情報通信革命が始まったのだ。そして米産業界は急速に変化し、ソフトサービス業の比重が高まっていく。
◆日本ではバブルの後も戦後の常識にしがみ付いて土地は必ず値上がりする政治は自民党で産業は製造業。日本の産業社会や宮庁の仕組は製造中心に出来ていて、それが今問題になっているのである。
◆身近な処で例を取れば我々が日常的に使う自動車は一応行き着く処まで行った様だ。しかし搭載されているカーナビの技術、便利さは目を見張るものがある。またポケベル、携帯電話、インターネットという流れに加速度が付いている。
◆今ここに携帯電話についていうならば、通信料金で儲けるのを前提に電話機を極度なダンピングで売ったのである。各社800億円位の損金を抱え込んだと云うからすざましい。我が業界でも在来工法の省力化と建築費の切り下げを狙ってプレカットの導入に入っていったのだが、どこも携帯電話と同じ様なダンピングの迷路にはまり込んでしまったようだ。これも生みの苦しみなのだろうか。
◆今述べた様に弱電でトップに立ったソニーはさておき、自動車に於けるトヨタと日産の格差は目を覆いたくなる。日本経済新聞6月1日の社説によると3月決算では企業の優勝劣敗が鮮明になった。何故価格差がこんなに開いたのか、商品サービスの有無が最大原因だが、それだけでは大手名門企業の異常な不振は説明出来ない。
◆経営者のリーダーシップを含め、事業構造の転換など全社的な構造改革のスピードの差が大きい。そして金融機関並びに大手ゼネコン4社即ち清水、大林、大成、鹿島の改革の遅れを挙げている。
◆経営者のすべき事は、景気回復を待つ事ではない。新しい方向を早く見出して欲しいと云っている。我々業界でも業者が減少しつつある。パイを取り合っても仕方が無い我が社のソフトサービスとは何か、客に何が出来るかが問われる時代に入って行くのである。
◆ハードウェアでやって行くのは木材スーパーに任しておけば良いのだ。上場企業では株主に云う事は、いくら売ったかではなくて、いくら儲けたかである。業界もぼつぼつ目を覚まして安売りは好い加減にして経費位はお客さんから頂いたらどうですか。