行政書士が映画「ソーゾク」を観ました
映画「ソーゾク」を観ました。面白かったです。
以下ネタバレありです。

4人兄弟の母親が亡くなります。父親は既に他界しています。母親は亡くなった長男のお嫁さん(中山忍さん)と一緒に暮らしていました。
仲が悪くはなかった兄弟が遺産分割協議をするのですが、家を売って法定相続分で平等に相続したい長女と単独で相続したい次男の意見対立を軸に話が拗れて揉めてしまいます。次男は「跡継ぎ」としてお墓や仏壇も承継する(祭祀承継者)のだから家も相続できるだろうという主張です。ここには次男の配偶者である妻の主張も強く入っています。「小さなアパートでの5人暮らしは辛いから相続して大きな家に住みたい。」という勝手な想いがあるのです。
遺産分割協議はなかなかまとまらず、長女が頼ったのは「相続診断士」。
「相続診断士」はそれらしい名前がついていますが、国家資格ではなく民間資格です。なぜ、「相続診断士」がでてくるかというと相続診断協会がこの映画を協賛しているからです。
「相続診断士」が家族会議に参加して遺産分割協議の話し合いの進行をします。
「これは弁護士さんの仕事ではないのかな?」
と私は思いました。
私は相続のご相談が来てもご相談者に相続の意味や流れ、必要書類の説明をしますが、遺産分割協議の場には立ち会いません。
「みなさんで話し合って話がまとまったらその内容を遺産分割協議書に書き起こしますので、また教えて下さい。もし相続人の間で上手く話が纏まらなかったら弁護士さんをご紹介します。」
とお伝えしています。
映画では話が拗れて家庭裁判所に調停を申し入れます。このアドバイスも「相続診断士」がしています。その後お母さんが書いた遺言書が出てきます。その遺言書の検認についても「相続診断士」がアドバイスします。業際は大丈夫なのかな?と思いながら観ていました。
長女の義父が認知症、遺言書を書いた時の母が認知症ではないか?と認知症のことが何度かでてくるのですが、認知症をネガティヴ、茶化すように描かれているのは私は不満でした。
映画のストーリーとしては相続は上手くいかず、裁判になりそうなことを匂わせて終わりました。
登場人物の感情が丁寧に描かれてコミカルで笑えるところもあり面白かったです。
裁判官、調停委員はでてきても弁護士、司法書士、行政書士が全く話にすらでてこなかったのも違った意味で面白かったです。
「争族にならないように遺言書を書きましょう」がこちらの映画のメッセージではないかと思います。(相続で困ったら「相続診断士に頼みましょう。」では決してなく。)
かむろ坂行政書士事務所では遺言書の作成サポート、紛争状態ではない相続のお手伝いを行っています。お気軽にご相談下さい。

