遺言書を残した方がいいケース④

④家族がそれぞれ遠方に住んでいる

具体例をあげます。

ご本人と妻…東京在住
長男Aさん…仕事の都合でイギリスに在住
長女Bさん…国際結婚をしてアメリカに在住
次男Cさん…大阪在住
ご本人の資産 自宅 預貯金

遺言書がない場合→このケースでの法定相続人は妻と子供たち3人です。ご本人が亡くなった時に妻が金融機関の手続き等を行わなければいけない、妻がご高齢でなかなか外出できない場合等は遠方に住んでいる子どもたちが手続きをする必要がでてきて非常に大変です。

また、遺産分割協議を行うにも、家族全員揃うことが難しいため、スムーズに進むことは少ないでしょう。遺産分割協議書を作成した場合、相続人全員による署名、実印での押印、印鑑登録証明書が必要となります。印鑑登録証明書は法務局や銀行で提出を求められます。

具体例の場合、AさんとBさんは海外に住んでいます。海外に長期に住んでいる方は日本国内の住民票を抹消しているケースが多いです。つまり、印鑑登録証明書を取得することができません。このため、海外在住者は印鑑登録証明書に代わる資料として「署名証明書」を準備しなければいけません。

署名証明書とは外務省のHPの説明によりますと
「日本に住民登録をしていない海外に在留している方に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続のために発給されるもので、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するもの」
であり、申請者が在住地の日本領事館等の「公館」に出向いて申請しなければならないものとされています。

在外公館における証明|外務省 (mofa.go.jp)

この「公館」というのも一つの国にいくつもあるものではなさそうです。
例えばドイツだったらデュッセルドルフ、ハンブルク、ミュンヘン、フランクフルトにあるとありました。スペインはマドリッド 、バルセロナ、ラスパルマスらしいです。ラスパルマスという街は聞いたことないので調べたら大西洋に浮かぶ島でした。例えばビルバオに住んでいたら「署名証明書」取得のためにバルセロナやマドリッド まで行かなくてはいけないのはなかなか大変だと思います。

このように相続人が遠方に住んでいると手続きに時間がかかり「相続税の申告に間に合わない」、「預貯金の払戻しがなかなかできない」という状況にも陥ってしまいます。

ですので遺言書作成をすることをお勧めします。遺言書があると遺産分割協議書を作成する必要がないです。その際、遺言書の中で例えば日本にいるCさんやCさんがお忙しいようでしたら行政書士などの専門職を遺言執行者として指定することを書いておくと相続の作業がスムーズに行われるかと思います。

かむろ坂行政書士事務所では遺言書の作成サポートを承ります。
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