遺言書を残した方がいいケース⑤
⑤不動産など、分割しにくい財産がある
具体例をあげます。
ご本人と妻と長女Aは同居しています。
ご本人の資産は自宅と収益物件と預貯金です。
ご本人はご自身が亡くなった後は自宅は今のまま妻がAと亡くなるまで住むこと、妻が亡くなった後はAに継がせたいと思っています。
遺言書がない場合→自宅、収益物件、預貯金を誰が相続するかの遺産分割協議が必要になります。自宅不動産、収益不動産の価値が高い場合は、誰がどの不動産を相続するのか、その不動産の財産的価値はいくらかということで揉めやすいです。
具体的の場合、法定相続分は妻は1/2、ABCはそれぞれ1/6です。遺留分は妻は1/4、ABCはそれぞれ1/12です。
不動産を共有にすることは後日、その不動産をどのように扱うかをめぐって共有者の間で紛争になることが多いのでお勧めしません。
ただ、このケースでは不動産は自宅と収益物件の二つですので例えば妻は自宅の配偶者居住権と預貯金の一部、Aは自宅、Bは収益物件、Cさんは預貯金の一部を相続することにしますと、その預貯金額と自宅、収益不動産の財産的価値によってはCは多額の金銭(代償金)をAやBに請求することもあります。
遺言書には遺言を残した動機や残された家族に対する想いを書くこと(付言事項)ができます。そのような想いにより残された家族が遺言者がなぜこのような遺言を残したのかを理解できるようにすることは円満な相続に役立ちます。
このケースの場合
妻…自宅の配偶者居住権と預貯金の一部
A…自宅 B…収益物件 C…預貯金の一部
という遺言書を残そうとしたとします。この時、明らかにCの遺留分を侵害するような分け方になりそうだと分かったならばCのためにご本人は生命保険を利用してCに死亡保険金を受け取るようにする方法もあるかと思います。