高齢者の「身元保証」トラブル

「身元保証」について、法律などで規定されたものではなく、病院や介護施設などが慣習的に求めているものですが、身寄りのない人や頼れる親族などがいない人がサービスを受けられないケースが問題となっています。

「身元保証事業」を行っている会社はありますが、契約を巡るトラブルが続出しています。
【身元保証・高齢者支援サービスの主な内容】
・身元保証サービス
 病院や介護施設への入院・入所の際に手続きの代理や連帯保証など
・日常生活支援サービス
・死後事務サービス

【トラブル例】
・高齢者がよく内容や料金を理解していないまま契約してしまう
・口頭契約のみで解除もさせてくれない
・契約しているのに、困ったときに呼んでも来てくれない
・利用者が遺産を寄付する契約をしたが、死亡後に親族が現れて反対

頼れる家族がおらず、一方で法律では病院や介護施設が身元保証人がいないことを理由に利用を拒んではいけないとあるにも関わらず、身元保証を求めるので、身元保証のサービスを使う人が増えているようです。

適切な費用がわかりにくく、身元保証、日常生活支援、死後事務を組み合わせて提供する事業者が多く、少なくとも100万円以上かかる事業者が多いそうです。

そして、サービスの提供に必要な費用をあらかじめ事業者に「預託金」として預けるケースが8割あるそうです。死後事務サービスなどは「預託金」として預けておいてもらわないとサービスができなくなるので一般的な方法ではあるかと思います。しかし、16年に大手の一般社団法人「日本ライフ協会」はその預託金を不正流用するなどして破綻しました。

総務省による身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査の結果(概要)より

業界全体でのルールづくりなどが進まないまま現在に至っているようです。
ルールづくりがされない理由はこうした事業の監督省庁が明確でないことなどがあるようで
「現状では、事業者が提供するサービスについて直接規律・監督する法令・制度等はなく、監督官庁や事業者団体も存在しないため、利用者とのトラブルも発生していますが、対策が十分に講じられてきたとは言えない状況」
と総務省の調査でも言及しています。

対応策をとる動きが始まっているようです。
静岡県では身元保証などの終活支援事業者を審査し、「優良」と認証する制度を準備しているようです。

行政書士会でもこの身元保証の話は社会問題になっているという認識があり勉強会があったりもしています。
いきなり終活支援事業者を訪ねるのではなく、地域包括支援センターなどまずは公的な窓口に相談した方がよいです。契約の際には友人でもよいので誰かに付き添ってもらい、自分と事業者の2者だけの関係にならないことが大切です。

品川区も早急にこの問題に取り組んでいただきたいと思っています。
このような問題があることを認識して頂き、悪徳業者も多いですので安易に契約はせず、ご心配なことがありましたら、かむろ坂行政書士事務所にご相談して頂ければと思います。