家族信託(民事信託)のデメリット④ー損益通算が禁止されているー
家族信託のデメリット④を纏めます。
「信託不動産の損失と信託をしていない不動産の損益通算ができず、損失を翌年へ繰越しができない」
ことかと思います。
具体例で説明します。
①ではAアパート、Bアパートともに個人の財産です。
②ではAアパートは信託財産、Bアパートは委託者の個人の財産です。
Aアパートは大規模修繕を行ったのでその年の所得は経費を支払った結果、▲200万円となりました。Bアパートは例年通り不動産取得として200万円の黒字が発生しています。
①の場合ですと合算することができ所得は0円となります。
②の場合ですとAアパートの損失である▲200万円の損失は生じなかったものとみなされ、Bアパートの200万円の利益と損益通算ができないのでBアパートの200万円の不動産所得に対して課税されます。
また、Aアパートが通常の所有権であれば当該損失▲200万円は翌年以降への繰超しが認められますが、Aアパートが信託財産であるため、損失を翌年へ繰り越すこともできません。