家族信託(民事信託)のメリット⑤ーペットの飼い主の入院などに備えることができるー
家族信託のメリット⑤について纏めます。
「ペットの飼い主の入院などに備えることができる」
ことかと思います。
具体例で説明します。
一人暮らしの高齢の方が犬を飼っています。自分が病気になって入院した時や自分が死亡したあとのペットのことを大変心配しています。
ペット信託とはこうした場合に飼い主の死亡や入院に備える信託契約です。
委託者の飼い主と受託者の家族や友人との間にお元気なうちに信託契約を結び、信託専用口座も開設し資金を入金します。
同時に新たな飼い主(具体例は老犬ホームにしました)も指定し、契約内容に従い、委託者による飼育が困難になると信託がスタートします。
もし、受託者のことや新しい飼い主のことに不安を抱くようでしたら費用は別にかかりますが、信託監督人を設定して受託者と新しい飼い主が適正にペットを飼育をしているかを監督することもできます。
これまで万が一に備えてペットのためにできることといえば遺言書による負担付遺贈でした。しかし、これは飼い主の死後にしか効力が発生しないため、飼い主が入院してしまった場合などには対応ができませんでした。
また、相続人が飼い主の死後、財産だけを相続し、ペットの飼育をしない場合も考えられました。こうした時にチェックする人がいません。
さらに、負担付遺贈をしたとしても、そもそも相続人が相続放棄をすれば
「遺産を相続していないからペットの飼育をする義務もない」
という状態にもなります。
しかし、ペット信託ですと信託専用口座のお金は相続財産に含めないので、相続人に争いが起きても飼育費の支払いが滞ることがないというメリットもあります。