講演「あなたの認知症観は古くないですか?」
品川区役所で行われた医師の繁田雅弘先生のお話を聞きました。

繁田先生は栄樹庵診療所 院長で認知症診療のオピニオンリーダーでいらっしゃいます。
栄樹庵診療所 – メモリーケアクリニック湘南栄樹庵診療所の特徴 平塚の閑静な住宅地に 認知症の方をそのご[...続きを読む]memorycare.jp
また「一般社団法人栄樹庵」を作り「認知症をもつ人とその家族にとって安心できる場」「地域の人のための場」「認知症の啓発の拠点」となる「ハウス」を作っていらっしゃいます。
SHIGETAハウスとは | 認知症の希望のサイトshigetahouse.org
講演の内容としては認知症当事者の方のお考えや権利をいかに尊重するかの大事さを訴えていらっしゃるように感じました。
認知症が疑われたら大抵まず、病院へとなります。ご本人さんが嫌がっていても心配した家族が無理やり病院へ連れて行こうとされることもあります。
「それって果たして意味がある事なのか?」
というのが繁田先生の主張でした。
病院でもらう薬が劇的に効くとも限らない、何しろ本人が嫌がっている。診察をうけて本人が嫌な気持ちになることもある。
私はこの話を聞いて、「とはいえ病院で診断してもらわないと介護認定がつかないという問題もあるのだけれど。」と思ったりしながらお話を聞いてしました。
しかし、本人の意思を無視するのは避けたいです。
認知症でも当然人として尊重されるべきです。例えば認知症と診断された時、その情報を誰にまで知らせるかも「本人」が決めるべきだと繁田先生は仰っていました。判断能力がなくなる前にエンディングノートに書いてもいいかもしれません。
繁田先生がお話の冒頭に話されたことがとても印象的だったので共有します。
ある中学校で命に関する講演会を繁田先生がされたそうです。そのなかで中学生達のお母様世代の方が若年性認知症になるという映像を流したそうです。
その感想として中学生は
・衝撃を受けて「考えられない」
と言う人もいれば
・施設に入ればいい
・「大丈夫」だと言ってあげたい
といった意見もある中で
・「お母さんは、お母さんだから」と言ってあげたい
という意見もでたそうです。
先生も中学生に教わったとおっしゃっていましたが、私もとても大事な考え方に感じました。
たとえ認知症になってもその方は誰かのお母さんであったり誰かの妻であったり誰かの妹であることは変らないんですよね。
「アルツハイマー病の隠れた被害者は家族である。」(Steven Zarit)
というほどに介護をしている方のご苦労は大変なものだと思います。しかし、頭の片隅にこうしたことを置いとくことが「新しい認知症観」として大事な事ではないかと感じました。